雪国では一年に必ず2回行わなければならないタイヤ交換。
専門のタイヤ交換業者に依頼する方もいれば、ご自身で交換される方も多いと思います。
タイヤ交換はその作業自体が危険を伴う作業であると同時に、正しく行わないと交換後もタイヤ脱落事故のリスクが伴います。
そのためご自身でタイヤ交換される方にも専門知識が必要な作業です。
今回は「プロが教える正しいタイヤ交換」と題し、タイヤ交換に必要な道具、安全な交換の方法、交換時の注意事項などについてまとめました。
タイヤ交換に必要な道具
ご自身でタイヤ交換をする場合は以下の道具を事前に準備しましょう。
- 輪留め(車の動きを止める)
- 角材またはリジットラック(車体が落ちた時の安全対策)
- ジャッキ
- 車載ジャッキ:不安定なため極力使用を控えたほうが良い
- フロアジャッキ:重量があるものの扱いやすく安定感がある
- シザースジャッキ:車載ジャッキに近いが軽い力で持ち上げられフロアジャッキより軽いのが特徴
- ジャッキ用の当て板(塗装の保)
- ナットを緩めたり締めたりする道具
- 車載レンチ:工具としての制度が低いため緊急用と考えた方が良い
- クロスレンチ:国産車であればナットのサイズをほぼ網羅している
- スピンナーハンドル:ナットを素早く締めたり緩めるたりすることができ、あると便利な工具
- トルクレンチ:車種ごとの適正なトルクに締めることができる
ホイールキャップの外し方、取り付け方
外し方
取り付け方
安全対策
安全対策のため①シフトをパーキングに入れる、②サイドブレーキを掛ける、③輪留めを設置する、この3点を必ず行いましょう。
輪留めは交換するタイヤの対角に設置します。
輪留めを設置することでパーキングブレーキの効きが弱い場合、サイドブレーキをかけ忘れた場合にも タイヤの転がりを防ぐことができます。
ジャッキアップとタイヤの取り外し方
ジャッキポイントを確認する
ジャッキをかける位置は車種によって違うので取扱説明書を確認しましょう。
ナットを緩める
ジャッキアップ前にナットを緩めておきましょう
ジャッキアップ
スタッドレスタイヤは夏タイヤより外径が大きい場合があるので、その分を考慮して上げましょう。
しかし、あまり高く上げすぎても危険なので注意が必要です。
ジャッキアップ時の注意点
ジャッキが倒れて車の下敷きになってしまう、車を損傷させてしまう、けがをしてしまうなどの事故は毎年起こります。平らなところで行う、角材やリジットラックを使う、車載ジャッキを使わないなどの安全対策を行いましょう。
角材(垂木)の設置
ジャッキが外れ車体が脱落することを防ぎます。
タイヤを外す
角材またはリジットラックを設置し、安全を確保出来たら、さらにナットを緩めてタイヤを外します。
タイヤの取付方と注意点
ボルトとホイールを拭く
ボルトに砂やごみがついていないか確認、ホイールが当たる部分に錆が出てきているとホイールがきちんと入らないとか占めたけど錆が邪魔してきちんと締めきれないなど、脱落事故につながります。
また、ボルトには油をつけないようにしましょう。油で潤滑になりすぎてナットが閉まりすぎることにより、ねじが伸びてしまう可能性もあります。
フロントに付けるタイヤを選ぶ
車はフロントのブレーキの方が強いのでフロントに良い(摩耗していない)タイヤを履かせましょう。
目視で残溝やタイヤ表面のイボイボの残量を確認しましょう。
タイヤを取り付ける
ジャッキを下す
下に物がないかを確認してからジャッキを下しましょう。複数人で作業する場合には必ず声掛けをしてから下しましょう。
増し締め
最後にトルクレンチを使い増し締めを行います。車ごとに適正トルクが異なるため、説明書を確認の上適正トルクで行います。締める時は4本のナットを対角の順に締めることで均等に締め付けが出来ます。
ナットの締めすぎに注意
足で踏みつけたりパイプでレンチを延長したりするのは締めすぎです。必ずトルクレンチを使いましょう。強く締めすぎるとボルトが伸びてしまう、折れてしまう、次回タイヤ交換時に外れないなどの不具合が発生します。
タイヤ交換後の注意点
タイヤ交換から1~2週間後に再度増し締めを行いナットに緩みがないか確認しましょう。
以上、タイヤ交換は専門知識の必要な作業なので専門業者に依頼するのが一番良いのですが、どうしてもご自身で交換したいという方は、本記事で説明した道具、安全対策を行った上で行ってください。
車屋勤務歴22年、営業・板金工場フロント・整備工場フロント・ロードサービスなど車屋のあらゆる業務に精通。
資格:国家整備士2級、ロータスインロック開錠ネット(上級)その他、ロードサービス業務に関する資格多数